マルチ商法での勧誘は違法なの?

マルチ商法の勧誘は違法だとよく言われますが、果たして本当でしょうか?

いきなりですが、その答えを言いますと

「違法ではありません」

しかし、マルチ商法は法律上は「連鎖販売取引」と規定され、その勧誘は特定商取引法でがんじがらめに規制がかけられています。規制が厳しいため違法な勧誘をしてしまっているマルチ商法の会員が多いのが実情です。
そんな危ない綱渡りをするに等しい「マルチ商法の勧誘の違法性」について説明します。

 1.違法?マルチ商法での勧誘の手口

マルチ商法での勧誘の手口で、違法になりやすいものを見ていきましょう。

 1-1.勧誘目的や企業名・商品名・氏名を告げずに会う

単に「ご飯を食べに行こう」とか「会わせたい人がいるので来ない?」のように、勧誘目的を告げなかったり、企業名や商品名、勧誘者の氏名を明らかにしないことは違法です。特商法33条の2の規定で「氏名等の明示」が義務付けられていて、

1)統括者、勧誘者または一般連鎖販売業者の氏名
2)マルチ商法の勧誘をする目的である旨
3)勧誘にかかわる商品または役務の種類

をきちんと告知した上で会う約束をとらなければなりません。

『アムウェイ販売員の丸地さんに会いませんか?おすすめの化粧品や日用品などの説明をさせてもらいたいです。これはマルチ商法(ネットワークビジネス)の勧誘です。』
以上のような勧誘の言葉であれば、違法にはなりません。

 1-2.「簡単に稼げる」「誰でも儲かる」などの誇大表現を使う

現実問題として、マルチ商法は簡単に稼げませんし、誰でも儲かるビジネスではありません。また、医薬品でないのに「病気に効く」「ガンが治る」など薬機法違反になるような文言も使用できません。特商法第36条で「誇大広告の禁止」が規定されています。

誇大広告や、事実と異なる内容の広告によって発生する消費者トラブルを未然に防止する目的で、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」は禁止です。

 1-3.断った人を何度も勧誘する

契約する意志がなく、断っている人に繰り返し勧誘をするのは違法行為です。特商法第3条の2では、訪問販売の規定ですが「再勧誘の禁止」が定められていて、連鎖販売取引でも遵守しなければなりません。

事業者は訪問販売の際、勧誘前に消費者に勧誘を受ける意思があることを確認し、消費者が契約する意思がないことを示した場合は、勧誘を継続したり日を改めて勧誘したりしてはいけません。

マルチ商法は一度断られたら、その瞬間から同一人物に対して勧誘することは一切できなくなります。一般的なセールスと同様に「いりません!」の一言で一発終了です、本来は。

 1-4.公衆の出入りがない場所で勧誘する

勧誘員の自宅や、貸し会議室など、密室に近い場所での勧誘はできません。ファミレスやカフェなどの人の出入りがある場所での勧誘が特商法第6条で義務付けられています。

キャッチセールスやアポイントメントセールスと同様に、勧誘目的を告げずに誘引した消費者に対して、公衆の出入りする場所以外で売買契約等の勧誘は禁止です。

 1-5.長時間の勧誘、帰らない・帰らせない

長時間にわたって勧誘活動を行ったり、契約をするまで勧誘員が帰らない、あるいはその場所から帰らせてくれなかったりした場合も違法行為となります。特商法第38条3号に規定されています。

マルチ商法の契約を締結しないという意思表示しているのに、契約を結ばせるために迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすると、主務大臣は統括者に是正措置などを指示することができます。

 1-8.クーリングオフの説明がない

クーリングオフなどの契約に関わる重大なことは事前に説明しなければなりません。もちろん、事実と異なる内容を告げるのもいけません。禁止行為を定めた特商法34条の1の条文において明確に示されています。

勧誘の際に契約が有利になるように、あるいは契約後に解除されないように、商品の品質・性能など、特定利益、特定負担、契約解除の条件、そのほかの重要事項について事実を告げないこと、あるいは事実と違うことを告げることが禁止されています。

本項の内容は以下を参考に、条文内容等をわかりやすく記述しました。条文の正確な文言を確かめたい方はリンク先も合わせてご参照ください。

参考:

特定商取引に関する法律(特定商取引法)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=351AC0000000057

特定商取引法ガイド/連鎖販売取引
http://www.no-trouble.go.jp/what/multilevelmarketing/

 2.勧誘されたら・・・マルチ商法での勧誘にあったときの断り方

上述のように、マルチ商法の勧誘ではさまざまなことが禁止事項となっています。したがって、特定商取引法に定められている内容を盾にすることで確実に断ることができます。

 2-1.事前に告知されないマルチ商法の勧誘は違法

事前にマルチ商法の勧誘であることを知らされずに会う約束をした場合や、事前の告知なしに勧誘の目的でアップラインを紹介された場合など、特商法違反になる勧誘行為は非常に多いです。

怪しいと思ったら、「これってマルチ商法(=ネットワークビジネス)の勧誘?」とあらかじめ防衛線を張りましょう。

1)相手の返事がYes!なら
告知されずに勧誘行為があった時点でアウトです。特商法33条違反であることを告げましょう。これ以上マルチ商法の話をしないよう促すか、興味がないと言ってその場を立ち去ってOKです。

2)相手の返事がNo!なら
以後の会話でマルチ商法に関係しそうな話題には興味を示さないようにしましょう。「将来の夢」や「副業」「儲かる」「権利収入」などのワードはマルチ商法の話につながる可能性大です。「あっそ」「ふーん」などの塩対応で相手は何も言えなくなります。強引にマルチの話題に持っていかれたら特商法33条違反であることを指摘しましょう。

 2-2.最終手段は「電話相談」

もし、以上のような断り方をしても

「いや、そんなことはない」
「マルチ商法ではないから、違法ではないよ」

などと勧誘者が食い下がってきたときは、以下に電話して確認することを告げましょう。相談自体は問題ありませんので、その場で本当に電話をかけてしまっても大丈夫です。下記サイトで電話番号を調べることができます。

・勧誘者が会員となっている会社
参考サイト:マルチ取引を行っている企業をまとめてみた(NAVERまとめ)
https://matome.naver.jp/odai/2142884241654730401

・消費者庁の推奨する消費生活相談窓口
参考サイト:消費者庁HP/被害にあったら
http://www.caa.go.jp/consumers/damage/measures/

※188番(いやや!)にかけて郵便番号等を入力することで、身近な消費生活相談窓口を案内してもらえます。

最悪の場合は110番通報しましょう!

 2-3.万が一契約してしまっても大丈夫!

20日以内までクーリングオフができます。中途解約もできます。そして必ず消費生活相談窓口などの適切な機関を頼ってください。信頼できる人に相談しても良いですが、何はともあれ一人で判断することは絶対にやめましょう。勧誘者に「周りの人に相談しないように」と言われるでしょうけれども、その時点でもう、あなたに対する洗脳が始まっています。

大事なことなのでもう一度言います。
「一人で判断することは絶対にやめてください!」

相手は百戦錬磨ですので大抵の反撃には対応する術を持っています。一人で立ち向かうのは危険です。

 3.マルチ商法での勧誘でのやり取りの事例

マルチ商法の勧誘事例の紹介と、それぞれの事例における主な違法ポイントを指摘します。

 3-1.<事例1>説明会で必ず儲かると勧誘されて

友人の紹介でビジネスの説明会に出席した会社員のAさんは、「必ず儲かる」などとビジネスの会員になることを勧められ、友人の顔を立ててやりたいと思って入会しました。

会員は割引価格で商品が買えること、新たに会員を入会させれば紹介料が入ると言いくるめられ、合計で50万円近い商品を買わされましたが、明らかに商品価格が高額なことや簡単には勧誘ができないことに気づき、解約と返金を申し出たのですが応じてもらえませんでした。

【違法ポイント】
・必ず儲かるなどの誇大表現
・クーリングオフに応じない

 3-2.<事例2>サラ金に手を出してまで

主婦のBさんは、高額な健康食品の購入を知人から勧められました。また、「会員なら会員価格になってお得だし、友人を誘えば絶対に収入になるよ」と言われたのですが、お金がないので断りました。「最初は大変だけど、勧誘できれば自動的に毎月4万~5万円入るんだよ」と再三勧誘された挙げ句、「お金がないなら消費者金融で借りなよ。簡単に返済できるから大丈夫」と言われ、借金して会員になってしまいました。しかし、勧誘がうまくいかなくて返済にも苦しんでいます。

【違法ポイント】
・初回購入時に会うとき、事前に勧誘する旨の告知があったか
・絶対に収入になるなどの誇大表現
・契約を断った後に勧誘を繰り返す

 3-3.<事例3>まるでネズミ講

大学生のCくんは、友人から「良いバイトがある」と誘われ、彼の紹介する業者に会いました。ビジネスの内容はインターネット広告の代理店でした。

勧誘して新規の代理店契約(子会員)が発生すると紹介料が2万円で、その子会員が孫会員を勧誘できれば、さらに2万円が手に入ると説明され、契約をすることにしました。

すると、会員資格を得る契約のために30万円が必要だと言われ、現金がないと断ったら、「必ずあとで返せるぐらい儲かるから、消費者金融で借りてきて」と説得され、借金して契約してしまいました。

【違法ポイント】
・初回購入時に会うとき、事前に勧誘する旨の告知があったか
・業者の氏名や商品の説明等があったか
・必ず儲かるなどの誇大表現
・契約を断った後に勧誘を繰り返す

※この事例は、そもそも「ねずみ講」とみなされる可能性が高いです。ねずみ講は具体的な商品やサービスのない、契約による金品のやり取りのみで行われる詐欺商法で、問答無用の違法行為です。

 3-4.<事例4>本部組織の所在が外国だったら要注意

大学生のDさんは、ホームページスペースをレンタルさせるマルチ商法に勧誘され、主催企業をよく確認せずに契約してしまいました。

このマルチ商法は、新たに会員を勧誘して契約させれば紹介料が入る仕組みでした。広告ではホームページを持つ楽しさばかりが強調され、会員を勧誘して紹介料を得ることが目的であることがわかりにくい構成となっていました。

契約書がないばかりか上位会員の連絡先も不明、さらに主催企業の本部も外国にあるため、苦情や解約の申し出が事実上不可能で、日本の会員は泣き寝入りするしかありませんでした。

【違法ポイント】
・容易に利益が得られるなどの誇大表現
・20日間のクーリングオフに対応しない

※国外の企業に対しては日本の国内法が適用されないことがありますので、うかつに手を出してはいけません。

参考:国民生活センター
「ホームページのスペースをレンタルさせるマルチ商法」の被害が増えている!
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20010718_2.html

 4.マルチ商法はなぜ違法だと思われるのか

戦後の日本国内の歴史において、ねずみ講はもちろんのこと、マルチ商法やネットワークビジネスにまつわるトラブルが絶えず発生してきたため、それらの商行為を取り締まるために法整備が進められました。

現時点ではマルチ商法は違法ではありませんが、それはきちんと法律に従って勧誘をした場合にのみ言えることです。実際のところ、特定商取引法を理解せずに違法な勧誘をしているディストリビューター(=ビジネス会員)が多すぎます。

ですので、

「違法行為を行うマルチ商法の会員がいる=マルチ商法は違法」

という図式が成り立ってしまい、一般の人からすれば「マルチ商法は違法なんでしょ?」という認識になりやすいのだと考えられます。

 5.マルチ商法での勧誘は違法かどうか・まとめ

冒頭でも述べたように、マルチ商法の勧誘は違法でありません。

しかし、法律にのっとってクリーンな勧誘を心がけると、末端会員ではほぼ稼ぐことができないビジネスモデルであることは容易に理解できるでしょう。特定商取引法で定めていることは、マルチ商法にとって非常に不利な決まり事だらけです。

「マルチ商法の勧誘するんでお話しませんか?」なんて言われて、あなたはその人に会いに行きますか?

「マルチ商法は自分で商品を何十万円分も買う必要があって、だいたい売れ残るよ。売るのが上手い人なら儲けられるけど確率は5%以下かな」と言われて、あなたは会員になりますか?

現状では、
・違法でないマルチ商法は儲かりませんのでやめましょう。
・儲かるマルチ商法は違法なやり方しかありませんのでやめましょう。

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