通院がいらなくなる?ブロックチェーン採用の電子カルテでどう変わる?

突然ですが、
「ブロックチェーン」
と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

多くの人は2017年に代表される時事としての仮想通貨を思い浮かべるのではないでしょうか?

仮想通貨はブロックチェーン技術を使って作られた新しい通貨であり、その爆発的な普及や値上がりには、多くの人が目を奪われたことでしょう。

しかし、ブロックチェーン技術の活躍は仮想通貨業界に留まりません。

ブロックチェーンという記述自体は、データの記録の方法の話であり、その技術を応用することで、あらゆる分野が革新的に変わります。

その中でも、今回は医療に注目したいと思います。

少子高齢化が叫ばれる中で、多くの人はこれからの医療に不安を持っているはずです。
介護や医療の現場は人手不足と言われていますし、寿命も延びているだけに健康的に生活ができることの重要性は年々増してきています。

今回はそんなブロックチェーン技術と現代医療との関わりについて見ていきたいと思います。

1. ブロックチェーン技術の電子カルテへの応用事例

現在、ブロックチェーン技術を用いた電子カルテが非常に注目を集めています。

その大きな理由は、
「日本が医療大国」
である事に起因します。

その問題点などは後述しますが、ここでは実際にすでに商品化されているものを見ていきましょう。

1-1.メディカルビット

メディカルビットは、2015年より電子カルテ事業に取り組んでいる日本メディカルソリューションズという会社の全く新しい商品になります。

その最大の特徴はブロックチェーン技術によって蓄積されたデータをAIによって分析していくという事にあります。

既に何年もの間電子カルテ事業に取り組んでいるからこそ実現可能なこの新しい電子カルテに業界も注目しています。

電子カルテとしての操作性も非常に優れており、身体の部位などの難しい漢字も、身体の図に触れるだけで入力が可能になるというインターフェースが人気で、業界でもトップクラスのシェアを誇っています。

1-2.医療カルテ共有システム

仮想通貨取引所としても有名なGMO株式会社が、2017年の7月に医療カルテ共有システムのオープンソースの提供を開始しました。

こちらも電子カルテの「情報が分散している」という現状の問題点を解決するためのシステムの提供になります。

オープンソースとは、GMOが作ったシステムのソース(どのような仕組みでシステムが成り立っているのか)を公開することによって、各種IT企業にその技術を応用してもらい、社会的により多くのサービスを提供してもらうための仕組みです。

2018年は、このシステムを利用した電子カルテが急増することも予想されています。

2. ブロックチェーン技術による今後の電子カルテの変化

ブロックチェーンと言われても、いまいちピンときていない人も多いはずです。

ブロックチェーンの特徴とはデータを

「特定の場所に蓄積して、たくさんの場所から見る」

するという形から

「たくさんの場所に蓄積して、たくさんの場所から見る」

という形に変えた画期的なシステムです。

技術的な話をすると非常に難しくなるのでここでは割愛しますが、
・改ざんができない
・費用が安く済む
・情報が共有できる
などといったメリットはどの業界にも当てはまります。
ブロックチェーンを利用することで、実際にどのような医療業界の変化が起こるのでしょうか?

2-1.ブロックチェーンを使うメリットとは

医療業界において、ブロックチェーンを使うことのメリットは、大きく分けて2つあります。

1つは、導入するコストが非常に低いことです。

ブロックチェーンは、これまで特定の会社で管理していた情報を分散型の情報として各端末などに情報を保管するというものです。

これは、1つの会社内においても基本的には同じです。

例えば、これまでは自社でサーバーを借りて、情報を管理していたものを、各パソコンにそのデータを保管し、それを別のパソコンからも見ることができるようにする。

そうすると、これまでサーバーを借りていた費用はかからなくなります。
これは、費用面としてのメリットが非常に大きいです。

また、情報を1箇所に集めるサーバーの仕組みは、一度に多数の人がアクセスすると速度が遅くなるなどのサーバーのスペックに起因する部分も多いのですが、ブロックチェーンを使えば、この負荷が分散されることになるので、スムーズにシステムを使うことができるようになるのです。

2つ目は、データをどこからでも参照することができるという点です。
これは、電子カルテにおいて非常に大きなメリットです。

例えば、Aという病院で診察するときに、問診を始め色々な検査をします。

その後、たまたま出先で症状が発症したため、普段行っている病院とは別のBという病院に行ったとします。

すると、Bの病院では、Aの病院のカルテを見ることができませんから、再度現状の症状などを始め、検査を行う必要が出ることがあります。

受診する側としては、非常に煩わしい状況ですよね?

このような状況を改善してくれるのも、ブロックチェーンなのです。

情報を各病院が共有できるようになるということは、いちいち不要な問診をされる必要もなくなりますし、スムーズな診察が可能になるでしょう。

また、病院側としても大きなメリットがあります。
現在、カルテをしっかりと書くにはかなりの時間がかかります。

そのため、詳しく書かれていないカルテもあるようですが、既に以前受けた情報が共有されている状況であれば、そこに現状を追記していくだけで良くなります。

作業が早くなりますから、医者は本来の仕事である診断や治療にもっと労力を割くことができ、より良い医療の提供が可能になるのです。

3. 日本医療の課題とブロックチェーン技術が医療分野に与える影響

ブロックチェーン技術を応用すれば、今後電子カルテは一層便利なものになっていくことは、前項でお伝えしました。

ここでは、そもそも日本の医療分野の課題について見ていこうと思います。

3-1.1人で抱えられないほどの知識量

医者というのは、非常に広い知識を持っていると多くの人が思っています。

確かに、専門的な知識の量は非常に多く、かなり勉強されていることでしょう。
一般的な学生の期間も医学部は長いですし、それからも勉強の日々が待っていることでしょう。

しかし、医療の進歩とともに、必要とされる知識の量は格段に増え続けているのです。

病気の種類や病名、薬の種類や効能も毎日恐ろしい量で増え続けています。
そんな中で、総合医療と言われる分野を1人でこなすには、不可能なほどの量の知識が必要とされています。

その上、現在は予防医療という考え方も少しずつ増えてきていますから、栄養学などの知識を求める患者さんも多いと聞きます。

大きな病院であれば、もしも1人の医師の知らない知識があったとしても、他の医師が知っていればカバーできます。

しかし、地方の小さな病院や、個人で開業した開業医などに関してはこのような知識不足が起こりかねません。

あなたがもし、ここ数年で見つかった病気にかかったとしましょう。
そんな時に、病院を訪れて、医師がその病気のことを知らなかったら?
正しい薬をもらえるはずがありませんよね?

病気や薬に対する知識が増えれば増えるほどに、こういったリスクは非常に大きなものになっていきます。

昔から「セカンドオピニオン」が必要だということは言われています。

医師も完璧な人間ではないですから、誤診や知識不足の医師も存在するという前提でのセカンドオピニオンですが、今後は情報も薬も増えてくるので、今以上にセカンドオピニオンが必要な時代になってくるかもしれません。

1-2.たらいまわしになるほどの患者数

良く病院を探しても「たらいまわし」になるという話があります。

実際に私自身も経験があるのですが、急に腹痛を起こしたときに、救急車を呼んでも、受け入れてくれる病院を探すのに手間取って、中々診察を受けれないことがありました。

一刻も早くこの症状を緩和したいと思っている私としては、非常に歯がゆい経験をしました。

こういった経験をしたことのある人は、少なくないのではないかと思います。

少子高齢化の波を受けてか、非常に多くの人が病院に通うようになっています。

上記の図は、厚生労働省における患者数の推移グラフになります。

入院に関しては近年多少の減少を見せる者の、外来に関しては、過去最高クラスで推移しています。

その一方、総務省から出ている人口グラフは下記のようになります。

少し未来の人口まで書かれていますが、2005年あたりをピークとして、人口は減少の一途をたどっています。

ということは、全体での患者数の割合としては、増え続けていることを表しています。

この患者数の増加が現在の医療の問題にもなっているのです。

3-3.情報が共有されていない

これは、既に挙げた問題点ですが、診断結果はA病院の情報はB病院に共有されていないという問題があります。

その結果、過去にAという病院で受けていて、引っ越した後にB病院で診察を受ければ、過去の診断結果はわからないままに、再度問診から始める必要性が出てきてしまうのです。

3-4.適切な薬は渡されていない!?

現状の病院での薬の処方に関しても大きな問題があります。

それは、現状誤診を始めとして、正しい薬を処方されていない確率というのは意外と高いようです。

この問題の原因の一つは、医者が余りにも忙しいために、診断に十分な時間を確保できていないことが挙げられるでしょう。

短い診断時間で、患者さんから正確に症状を聞き出すことは至難の技です。

特に、痛みの表現は人それぞれで違ってきますし、症状の伝え方が下手な人も多いです。

そういった状況もあり、誤診というのは私たちが思っている以上に多いのが現状です。

「プラシーボ効果」というものを聞いたことがあるでしょうか?

医者が薬だと言って出した物がただの砂糖だったとしても症状が改善されたという実験です。

病は気からとは言いますが、人間は思い込んだら薬の効果でさえも勘違いしてしまう生き物なのです。

そのため、誤診はあまり私たちが認識するほどにはならないですが、薬には多少なりとも副作用というものがあります。

副作用の効果が小さかったとしても、できるだけ正しい診断と正しい処方箋が望ましいのはいうまでもないでしょう。

3-5.無駄な人件費

病院では、毎日大勢の人が診察に来ます。

例え、支払いに1人1分から数分しかかからないとしても、1日に何百人という人が診察に来ていると考えるとその時間は膨大なものです。

そこに人件費を回すくらいであれば、少しでも良い医療機器などにお金を使う方が患者のためにもなるでしょう。

今回紹介しているブロックチェーンを利用した電子カルテなどに関しても、仮想通貨との連携が非常にスムーズなものが多いです。

独自の通貨(トークン)を作っているものもあり、それを利用すれば医療にかかる決済も非常に簡単に行うことができます。

こういった問題も長期的に見たときには非常に重要になって来ます。

4. ブロックチェーン技術によって電子カルテや医療までも変わる!

電子カルテは、現在はまだ50%前後の医療機関でしか採用されていないようです。

そんな状況では、先ほど挙げた問題点をすぐに解決する結果にはならないでしょう。

現在使っているシステムにもデータが大量に入っているでしょうから、そのデータを移行する作業も必要でしょうし、新しく機器を導入する必要性も出てくるかもしれません。

こういった状況が電子カルテの導入を妨げているのかもしれませんね。

しかし、この電子カルテを多くの病院が導入することで、利用者も病院ももっと良くなるはずです。

ここではそんな未来の病院の状況についてお話ししたいと思います。

4-1.診察券は1枚のみ

診察券は現在、各病院ごとに持っているかと思います。

内科なら内科、歯科なら歯科と、様々な病院のカードが財布にいっぱいになっていることでしょう。

病院に行くたびに面倒だと感じながらも探した経験はありませんか?

もしも情報をブロックチェーン技術を用いて情報を参照できるようになれば、必要となるカードは1枚だけで、どの病院でもカルテを見ることができるようになるでしょう。

4-2.簡単にセカンドオピニオンが可能になる

複数の医療機関に見てもらい、その診断結果が正確なものであるかを確認するセカンドオピニオン。

普段は割と面倒になってしまうので、中々行うことができていないかもしれませんが、仮にカルテが共有されるようになれば、別の医療機関に行ったときに自然にセカンドオピニオンができることを意味します。

前のカルテを見て、違和感があればもう一度その部分を詳しく問診・検査をするといった具合です。

それによって、誤診も減るでしょうし、患者としても安心した医療を受けることが可能になります。

4-3.ドラッグストアで買った物も検診対象に

仮想通貨を利用すると、そのデータはブロックチェーンによって管理されます。

そうなると、ドラッグストアで購入した商品から、今の症状などを予測することも将来的には可能かもしれません。

風邪薬を購入したら、それに合わせてAIが適切な処置を考えて通知する・・・といったサービスも出てくるかもしれませんね。

4-4.定期的な健康診断が簡単に!

定期的な健康診断を受けることの重要性は多くの人が理解していることでしょう。

しかし、中々そのために時間を取れている人は少ないでしょう。

そんな中で、スマホで簡単に現在の状況などを登録するサービスがあればどうでしょう。

きっと誰もが気軽に登録するでしょう。

そのデータを病院と共有することで、重症になる前に適切な対処ができるようになるかもしれません。

遺伝子工学や免疫学などの分野も発達してきていますから、家に簡易式の採血セットが定期的に配布され、それに血を入れて送れば、健康診断が簡単に行えたり、その遺伝子から病気になりやすいものの一覧などを通知することも可能になるでしょう。

そうすると、重大な病気にかかる人は少なくなり、寝たきりの生活になる前に対処ができるようになるかもしれません。

5.まとめ

今回は、医療業界におけるブロックチェーン技術の活躍について観てきました。

まだまだブロックチェーン技術を利用するには、課題も多いですし、電子カルテの導入に積極的ではない病院も多いようです。

しかし、間違いなく業界に革新をもたらす技術であることには変わりありません。

だからこそ医療業界の今後に期待したいと思います。

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